先日、引退猫の次郎さんをお迎えに行く時、久しぶりに高速道路を車で走りまして。
自宅から一番近いインターから乗り、ちょうど我が家付近を過ぎた頃、サービスエリアがあるんですよ。
そこを通った時に、冬郎の小学生の頃の話をふと思い出したので、書きますね。
たぶん、冬郎が4年生頃だったかな。
安心して読んで下さいね、まだ反抗期前の素直な可愛い男子の頃の話ですから笑
(可愛いは親バカ)
いつもの遊びから帰ってきて、私にこう言うんですよ。
『お菓子もただ!漬け物もただ!水も飲み放題の、めっちゃいいところ見つけたー!』と。
「え、そんなところあるん?」
親ならまずそー聞きますよね。
『あるんよー!!おれ、何回も行ったことあるし、今日も行ってきた!』
いつものおふざけや冗談とは、少しトーンが違っていまして。
「お金はらわんでよかったん?」
『うん!おれ、お金もっていってないし』
おこずかいは、すぐ使うタイプなので、当然持ち金がないのはよく知っています。
…にしても、お菓子もただとは。
まさか、盗み食いしてんじゃね?
まず、あやしい。
しかし、いつもとなんだか違うんだよな。
圧とゆーか。
本気と書いてマジとゆーか。
『ねーねー!明日連れてってやるけ、仕事から帰ってきたら一緒いこ。俺を信じて。』
「わかった。そーしよ。帰ったら連れてって。」
そう約束して、次の日仕事に行きました。
職場の人たちに話すと、
「そんな所ある?」
「どっかのお店で、小学生の子に親切でお菓子くれたりしよるんやない?」
「勝手に食べて今頃、小学生が盗み食いに来るって、通報されとるかもよー」
なんて、みんなに脅され内心どきどきして帰宅しました。
息子は、目をキラキラさせて私を待っていました。
「車で行ける道?」
『うん。いける』
いつもは自転車で行ってたんでしょうが、私もバナナも一緒なので、3人で車で行くことにしました。
校区内なので、徒歩でも自転車でも行けると思われるのですが、なんせ息子の説明じゃ、おおよその場所さえもわかりにくい。とにかく説明が下手くそ。
『よしくんちよりまだ向こうでね、まっすぐいって、ずっといって曲がってね、坂のぼって…』
どの辺なのか、さっぱり検討もつかないので、助手席に乗せて案内させました。
とりあえずは、”よしくんち”目指します。
よしくんは保育園から一緒なので、おうちは良く知っています。
そこからまだ少し先に進み、
『ここのぼってって』という、山の入り口のような小さな坂を登りました。
少し上がると、目の前には鉄の門が閉まっています。
鉄の門の両脇には木が生い茂り、とても車が通れる様子でもないので、道の脇に車を停めました。
『ここに車とめて、歩いていこー。』
息子が、自信たっぷりで案内するので、大人しくついていきました。
息子は、その鉄門の横から、身を縦にしてするりと入り、
『こっち、こっち』
と手招きします。
へ?そこから?
鉄門の脇と、木々が生い茂ってる隙間のわすが数十センチを、大人の私も通れと言うのか。
鉄門のカギ閉めてあったし、入ったらいけんところやないん?
いや。これ、間違いなく入ったらダメなやつやん。
あんた子供やけど、あたしゃ大人やで。さすがに怒られるやろ…これ。
バナナは、ひょいひょいっと探検モードで鉄門脇から入って行きました。
こーなりゃ、やけくそ。
かーさんも腹くくるぜ。
身をかがめてなんとかくぐった門の先は、ぱあっと視界が開け、広ーい広ーい駐車場になってました。
車が数台パラパラと停車しており、
あれ?
なんか見たことあるぞ、ここ。
『こっち、こっちー!』
と前を走る冬郎の方を見上げると、
そこは、なんと
高速道路のサービスエリアでした。
あ〜。なるほどね。
笑いと安堵で、私は周りの目もお構いなしにコンクリートの駐車場に膝から崩れ落ちました。
てか、ここでお菓子好きなだけ食べてたんかーい?
それ、試食やろ。
漬物も、って、おい。
完全に試食やないかい!
何回も来たことある、言うてたな。
この耳で聞いたぞ、コラ。
店員さんに怒られんやったんかい?
母、恥ずかしいわ。
見慣れない鉄門の入り口は、おそらく業者さん用の搬入口と思われ、
普段一般人の私たちが見るパーキングの裏側でした。
母の安堵もつゆしらず、
『こっちこっちー』と、案内係りを続行し、
見慣れた正面の入り口の方へ連れて行かれました。
慣れた感じで、うどん屋の中にすいすいと入って行き、
コップを取り、お水を入れはじめました。
にーっこりと嬉しそうに。
そこからは、一旦テーブルに座らせ、
『ここのお水は、ごはん食べる人だけが飲んでいいお水よ』と教え、
3人でうどんを注文し、美味しく食べて帰りました。
今まで息子が食べた試食がどれほどかはわかりませんが、せめてもの罪滅ぼしとして、
帰りにお土産コーナーで、手頃なクッキーを買って帰りました。
「息子がご迷惑をおかけして申し訳ございません」と、
心の中でつぶやきつつ…
次の日、会社にクッキーを差し入れしました。
土産話と一緒に。
みんな、冬郎くん最高やん!なんて笑ってましたが、よその子だから笑えるんですよ。
一歩間違えたら食い逃げですよ。
小学生の試食なんて、少しなら可愛げもあるでしょうが、どんな事やらかしたのかとヒヤヒヤもんで連れて行かれる親の心境ったら。もう。
でも。
笑い話とはいえ、行ってよかったですね。
息子の言ってた、
“お菓子食べ放題”
“漬物食べ放題”
“水飲み放題”
てゆーのは、見方によっては、間違いではなかったので。
とりあえず、頭から全否定しなくてよかった。
普段だだコネたりしない子が、あまりにも強めに言うから、
さすがにいつもと違うな、とは思ったんですがね。
『俺を信じて』
まで言ってたから、ちゃんと信じてついて行って良かった。
(信じる…と言うよりは、真相を突き止める、と言った方がしっくりくるな。スマン冬郎!)
まー。
『試食』とかの観念がないから、食べ放題て思ったんでしょーね、きっと。
お店の方にはご迷惑をかけましたが、いい勉強になりました。
おかげで、家族の思い出にもなりました。
とゆーことで。
お菓子も漬け物もお水も、
ぜんぶただなんて、そんなお店はありません。
以上。
では、今日はこのへんで。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに。
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