内核痔根治手術②

痔日記シリーズ
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8/4 入院2日目 手術当日

 

朝食 またこれ。

カンロ飴はもうないのか・・・

半分残しとけば良かった・・・

 

朝ごはんの後から、点滴がはじまった。

手術の順番は5人中4番目。

私は、14時からの予定。

 

後から教えてもらったが、症状の軽い人から先なんだって。

てことは、ヒドいほうだったかも、私・・・

付き添いには長女が来てくれた。

手術が14時からの予定なのだが、時間になってもだーーれも病室覗きに来やしない。

それどころか、結局待ちに待たされて15時過ぎにやっと看護師さんが現れた。

 

朝の点滴の際、薄っぺらい手術着に着替えていた。

手術着の中は下着も脱いで素っ裸で準備してて下さいって言われていて、

真夏とは言え、空調ガンガンの病室で、

ペラペラとはだける手術着では、さすがに生足が冷え切ってしまっていた。

靴下と羽織ってたカーディガンを長女に預け、点滴をカラカラ押して手術室に向かう。

「遅れてごめんなさいねー。待ったでしょー。前の患者さんが長引いて。」と看護師さん。

水色の手術帽にぴっちり前髪がおさまっている。

いえ。大丈夫です。

と返事するも、少し緊張してきた。

 

手術室に入る。

壁に向かってここに座るようにと、丸椅子を出された。

鼻先から壁まで50センチほど。

背中に、先生と看護師さんたちがカチャカチャと準備をしている音と少しの会話。

後ろを振り向きたい気持ちをグッと抑えて壁をみつめる。

さらに緊張が増してきた。

 

ただ壁を見つめていただけなので、随分長く座っていたかのように感じられたが、

おそらく数分だっただろう。

 

では、こちらに・・・

と、呼ばれ立ち上がる。

振り向きざま、いきなり手術着をササーーーっと脱がされ、

全裸でオペ室の入り口に仁王立ち。

 

もう一度言う!

全裸で仁王立ち。

 

え。

いきなり真っ裸?

手術ベッドの前には、大先生と若先生。看護師さんが7,8人ほど。

コンタクトしてこなくてよかった・・・

眼鏡も置いてきて正解だった・・・

みんなの視線がぼんやりとしかわからない。

50おばちゃんのふやけたパイオツを見た何とも言えない表情を、

くっきりとした視界に刻まずに済んだ。

肛門ちゃまを見られるよりもはるかに恥ずかしかった。

今のところ、50年でトップ!

 

「じゃあ、ここに上がって下さいねー」

って、

ここって、手術ベッドに?

踏み台もなんもなくって、あたしゃ背ぇちっさいのんに、

よじ登れって?

ねえ、ちょっとー。

これ、全裸で片足上げたら、お股全開になるんですけどーー!

マーキングする犬ですやん!

いやいや。

まじでこんなん聞いてないー。

と、戸惑いつつも、

そこは50女!

え~とか、きゃ~とか、

そんなん言わんでスッと乗ってやったぜ。

(急に男前!)

 

  

ベッドに乗ったら、

「横向きで体をくの字にまげて~」

「膝抱えて~」

「ぎゅーっと背中丸くね!」

考える隙もなく、2、3人の看護師さんにされるがまま。

「今から麻酔をするからね~」と婦長さん。

顔を上げたら婦長さんの名札が目の前だった。

腰椎麻酔、すなわち下半身麻酔。

腰から注射して脊髄を包んでいる袋の中に麻酔薬を入れる。

「動かないでね~」

「神経がいっぱい通っててね、少しでもずれると麻痺が残ったりすることがあるからね~」

と、優しく婦長さん。

こ、こわい・・・

婦長さんが丸く胎児のようになった私の体をぎゅうっと包んでくれる。

わたしもつい婦長さんにしがみつく。

なんだろ。この安心感。

背中に針がささる。

結構痛い。

ズンとくる。

しかも長い。

まだ? まだ?

と思っていると、

なんとなくほわんと足先があったかい気がしてきた。

麻酔が効いている証拠らしい。

 

麻酔が効いてきたので、横向きからうつぶせの体勢になる。

すると、ベッドのまん中が山のように折れ曲がり、体がへの字になる。

ちょうどベッド中央の尖がったとこが、お腹にあたるので、

息苦しい体勢だった。

下半身は、触れられた感触だけがわかる程度だが、

ほわんとあたたかい感覚ははっきりしていて、それがすこしだけ心地よく、

しだいに瞼が重くなってきた。

 

ん?

ちょっと待てよ。

あれ?

私、怖いから、術中眠りたいって、お願いしてなかったっけ?

確か言ったよな。

看護師さん忘れてる??

眠る薬入れてやるよって、手術の予約した時にカルテ書き込んでたよな?

 

なんか、さっき先生がお尻触って、

『大手術になるけど、ちゃーんと治してやるけん心配せんでよか』て言ってたよね。

もう手術始まってんの?

って、お尻見えない!

うつ伏せだから、

麻酔効いてるから、

何されてっかさっぱりわかんなーい。

えーー!

どーしよ。

看護師さんに言った方がいい?

今からじゃ遅いの?

カチャカチャ器具の音するし、会話丸聞こえだし、こわいんですけどーーー。

心臓バクバクしてきたよ。

こんな状況で、あの〜、なんて切り出せるわけないよな。

しゃーない。

諦めよ。

 

と、諦めたその瞬間、

ひとりの看護師さんがカルテを持ってきて、

「眠る薬希望って書いてあるよー」

はい!はい!

そーです!

私たしかに言いました!

気づいてくれてよかった〜

 

とりあえず手術ははじまってたみたいだが、

点滴のチューブから、眠り薬を注入された。

遅くなかったみたいだ。

よかった。

 

でも、

なんだか、

やけに周りが慌ただしい。

頭上を、看護師さんが行ったり来たり。

先生も早口で何か言ってる。

うまく内容が聞き取れない。

機械もさっきからピーピーゆってるし、

看護師さんもさらにバタついてる。

なにかあったのかな…  

なんか、

ねむくなってきた…

 

もう、目も開かないや。

 

あれ。

これって、私生きてる?

私…

わた…

 

   

そこからは深く深くと沈んでいった。

 

  

 

最後まで読んでくださりありがとうございます。

次回もお楽しみに

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