一睡も出来ず軽く朝が来ちゃったわけですが。
もー。
動きたい。
起き上がりたい。
天井ばっかり見飽きた。
昨日の夜、看護師さんから痛み止めをもらっているのが、カーテン越しに筒抜けだったらしく(そら聞こえるやろ)、ななめ向かいのベッドの方(以後ななめさんと呼称)が、心配して覗きに来てくれた。
『大丈夫ですかー?聞こえたけどー。看護師さんに痛み止め貰ったの?だいぶ我慢してたんじゃない?朝までカテーテル入って動けないから、お水とか手の届く枕元に置いとくといーよー。お水ある?自販機で買ってこよっか?』
「あ、あの、お金…」と言いかけた時すでにななめさんは自販機に向かっていて、音が静かでゆっくり閉まる入り口のドアが、ほぼ閉まりかけていた。
めちゃくちゃ早ぇ。
しゃべりも行動も、他人への思いやりも、全てにおいて秒。
遠慮する隙すら1ミリも見当たらねえ。
カーテンがシャッと揺れたと同時に、
『お金は動けるようになってからでいいからね!ここにおいとくよ!あ、携帯、充電器に差しとくねー。それと、明日の朝いち体温測るから、体温計手前に出しとくね。何かあったらすぐ呼んでねー。私も一週間前の手術の時そんなだったからーすんごい気持ちわかるー笑』
と「あ、」とか「や…」とかしか割り込めず、またもや風のように秒で自分のベッドへ消えてった。
ななめさんが自分のベッドのカーテンをシャッと閉めてから、
「あ…ありがとうございます」と、カーテン越しに声を張ってお礼を言った。
『いーの。いーの。気にしないでー。遠慮なく言ってねー。』
と、更に倍以上の音量が返ってきた。
痒い所を全部掻いてくれた気分だった。
一晩中痛くてたまらなかったが、胸はあったかかった。
時々鼻の奥もジンとした。
『朝の検温の時間です。お熱を測ってください。』と、部屋の放送が鳴り、
昨日ななめさんが手前に出してくれた体温計で体温を測る。
検温と脈の回診が終わると、尿管カテーテルが外れ、やっと起き上がることができた。
しかし、起き上がれたはいいが、ぜんぜん普通には座れない。
片手をついて、片尻浮かせ、斜め座り(横座り)でようやく一息。
入院3日目 術後1日目の朝食
おーかーゆーーーーーーー♪
なにこれ。こんなに美味しいおかゆ初めて食べたよ。
なんて美味いの♪
胃袋にしみわたるぜ。
最高に幸せ。
お塩に梅干し、お味噌汁…塩味最高!
甘くないって、素敵♪
と、全部食べ終わるかなーの超絶妙なタイミングで、
『開けるねー』と、カーテンがシャッ!ななめさん登場。
『このお塩、初日の今日しか出ないから!今日と明日までの残りの5食まだお粥だから取っといた方がいーよー。ここに置いとくね。お膳、私持ってくからゆっくりしててー』
と、またもや、「あ」と「はい」としか割り込めずななめさんは、廊下にお膳を下げに行ってくれた。
戻ってきたらお礼を言おうと待ち構えていたが、ななめさんはなかなか病室に戻ってこなかった。
待っているうちに放送がかかる。
『朝の診察の時間です。昨日手術された患者さんは、診察に降りてきて下さい。』
診察は、外来と同じ部屋で、一般外来が始まる30分前に入院患者の診察がある。
カラカラと点滴を連れて、1階へ降りる。
診察室の前のソファにななめさんが座っていた。
「お膳、ありがとうございました。」お礼を言うと、
『そんなのいーのいーの!それより、ご飯の後トイレに行ったんだけどー。大と一緒に出血してー、慌ててナースコールして看護師さん来てもらって、どうせ朝の診察あるし、先生診察室にいるからって先に診てもらったんよー。痛かったー。で、今、薬待ち!どお?久々に歩いたらクラクラするでしょ?』
「あ、はい。クラクラもするけど歩くだけでお尻めちゃくちゃ痛いです。」
『あー。そーそー!最初歩くの痛かったわー笑』
と、ななめさん立ち上がったと思ったら薬をもらって病室に帰っていった。
今日も相変わらず風速25メートル!(動きが秒!)
しかし、ん?
大と一緒に出血て言うてなかったっけ、今?
ななめさん術後一週間よな、たしか。
まだ血ィ出るん?
こえーなー。
先長いなー。
午前中に点滴1本、その間、気絶したかのように眠っていた。
いつの間にか点滴もはずれ、お昼ご飯が運ばれてきた音で目が覚める。
入院3日目 術後1日目 昼
ほんとだー!
ななめさんの言う通り、お塩、もうなーい!
ま、梅干しあればなんとか食べれるけど、せっかくの親切なので、取っといたお塩もふりかけて食べた。
大根おろしも、スクランブルエッグも、めちゃくちゃ美味かった。
幸せな気分で食べ終え、すこししてから、
なんとなく、首の後ろがダル重い感じがしてきた。
朝食の後も、実は今と同じ感じがしてて、朝の診察に降りて行った時も、
待ってる間立ってられなくて、でも座るのも痛くって、
待合室の壁に寄りかかっていた。
どうやらしばらく起き上がっていると、頭痛がしてくるようだ。
ベッドで横になると、痛みが軽減する。
点滴に痛み止めと吐き気止めも追加してもらった。
起き上がると頭痛がするのは、手術の麻酔液が、本人の元々持っている髄液との圧力の差がありすぎて、
頭痛がするのだという。
約10人に1人か2人はいるらしい。
生きてきた中、何かにつけて少数派。
この、食事の時に起きて、頭痛がして横になり、
眠っては起きて食事、また横になる、を、
二日間ただひたすら繰り返した。
その間の記憶もあまりない。
食事中に座るのだけでも、患部が痛くて、
たまらず円座クッションを受付で購入した。
それでも長くは座っていられない。
脚が痺れなければ、正座が一番楽なのだが…。
2日間の点滴で頭痛も随分楽になり、入院4日目の夜には、いったん点滴を終えることになった。
入院してから、初日は飲むカロリーメイトとカンロ飴。
手術当日も飲むカロリーメイト。
術後は痛くてなにも口に出来ず…
3日目、4日目はお粥と少しのおかず。
あまり質量がたまってないのか今のところまったく便意なし。
でも、ずっと点滴をしてたので、トイレはものすごく近かった。
それに、なぜか、
めちゃくちゃガスが出る。
4人部屋なので、これが一番の問題だった!
普段なら肛門をキュッとしめてトイレにGO!なのに、
あ、オナラ?←この時点でプー!
うそーん!?
”肛門キュッ”が、出来ないの。
痛いってのもあるんだけど、なんてゆーかな、
絞まれーって、指令が行ってないかんじ?
ゆるっと、だらんとしてんのよ。
多分、手術で腫れてるせいでもあるし。
まあ、術後だから?
今はまだ許すけどー。
50女と言えども、一応オンナの端くれ。
ずっとこのままだったらどーしよー、って、
なんかわかんないけど、眼鏡一回はずしてもう一回かけ直したよね。
見える景色は何も変わらず…
後日、この肛門絞まらない件について、改めて聞いたところ、
私の場合は、かなり症状が悪化していて、
手術で肛門周辺部分の2/3ほど切除したと。
よって、肛門の筋肉部分も術前よりも1/3程に減り、ゆるくなるのも当然だと。
こんな感じの説明を受けましたが…
ねー、それって、戻るの?
これ一番に聞きたい!!
『はい、個人差もありますが、肛門絞め体操とかしっかりやっていけば大丈夫です。戻りますよー』
だって。
ふうーー。
(ちなみに現在術後3か月、術前が100とするなら今40くらい…戻るころには生きてる?アタシ…)
入院5日目 朝食
麦飯よ!
米粒よ!
鮭よ。
最高じゃなーい♪
喜んだのも束の間、食事後またもやひどい頭痛がやってきた。
点滴ふたたび…
その日は、昼ごはんも、夜ごはんも、あまり食べれなかった。
しかも、せっかくの術後最初の入浴の日だったのに、
今日はダメだって…。
髪の毛なんて流行りのオイル仕上げですか?ってくらい。
日向が”俺ひとりでやれればいいのに…。”って影山のマネしてたみたいにぺったんこ。(byハイキュー)
お風呂にはいりたいーーーよおおーーーーー!!
ちなみに術後の肛門ゆるみ現象は、内核痔手術後、ほとんどの方にみられる症状だって。
症状の強弱はその人により色々だそうで。
術後すぐ100に戻る人もいるって。
うん。
わかってる。
50年生きてきて
何かにつけて少数派だったわ。
再、確、認。
ひみつのアッコちゃんならこれくらいの魔法かけれるかしら?
テクマクマヤコン!
肛門よー
絞まれー!ゴマ!
最後まで読んでくださりありがとうございます。
次回もお楽しみに。
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