次郎さんの腹巻と、オトンのぶおの腹巻

オトンのぶおの話
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次郎さんを里親としてお迎えするときに、里親仲介さんから、

『腎臓疾患や尿路疾患になりやすいと健康診断で言われています』と、最初に聞いていたので、

キャットフードも”尿路疾患用”のフードを選んで与えているんですが。

先日、ワクチン接種の時に、軽く健康相談を受けまして。

「腎臓の弱い子は、お水をしっかりと飲ませること、冷えると腎臓の働きも悪くなるので、長時間留守番で家の中が冷え切ってしまう状況がある場合は、洋服や腹巻など着せてやるのも予防のひとつになりますね。」と言われ、

聞いてすぐに次郎さんの腹巻姿を想像し、思わず吹き出しそうに笑

ジローさんは洋服って柄じゃないので、腹巻を編んでやることにしました。

まだ製作中なので、完成して出来が良かったら、披露しますね。

 

 

次郎さんの腹巻を編みながら、どうしても思い出さずにはいられない、

私のオトン、のぶおの話です。

私の友人たちに今もなお話題に上るほど、強烈なキャラクターとエピソードがいくつかあるので、

少しずつ書いていきますね。

きょうは、その中でも、腹巻の話です。

 

   

 

オトンは、2019年の1月にインフルエンザの高熱でころっと、あの世に行きました。

年が明けると、亡くなってまる3年になります。

  

 

オカンの目には、永遠の高校3年生舟木一夫さんにしか映らない本当のオトンは、

青島幸雄さんと間寛平さんを足して2で割り、(3:7で寛平似)

じゃりン子チエの鉄、バカボンのパパ、菅原文太さん演じるトラック野郎星桃次郎のごとく、

はたまたフーテンの寅さんなのか、

年中無休で腹巻をし日本酒の一升瓶を小脇にかかえる、ザ・昭和のオヤジである。

 

軽く風貌を、ご想像いただけたかと思いますが。

オトンは、決まって毎朝排便を済ませ出勤するといった、快便体質なのだが、

快便がゆえに、(とゆーか、酒の飲みすぎ?)時々お腹をこわすらしく、

常に腹巻をしていた。

ただ、寝る時は外していたと思う。

私が、まだ小さかった頃は、比べる対象がないのでなんでも家が基本。

家族のルールも、

無口なオカンも(オカンの話はコチラ)

せっかちなばーちゃんも(ばーちゃんの話はコチラ)

腹巻をした酒飲みなオトンも、なにもかもそれが普通だと思っていた。

 

 

冬に腹巻は、わかる。

年中無休なので、当然夏もしていた。

シャツと、時にはパンイチに、ON THE 腹巻

 

そりゃー、小さい頃、何度も聞きましたよ。

「おなか、暑くないと?」てね。

その度に、

「バカ言え。お腹は冷やしたらつまらんて、幼稚園生でも知っとーぞ。」

必ずこう返事が来ました。

幼稚園での教えをしっかりと守っていたのか。

 

 

そして、そのオトンの腹巻は多機能腹巻であった。

筒状になった長めの腹巻を、下から半分に折って着ていたのだが、

これが、ちょうどいい具合のポケット代わりになっていた。

オトンは、そこにいつも手を入れ温めていたし、

札入れと免許証も文字どおり肌身離さず入れていた。

小銭はジャラジャラとそのまま。

Uの字になっているので、落ちないのである。

『ポケット』『カイロ』『ウェストポーチ』『財布』と、実にハイスペックな使いこなし。

 

しかもその多機能腹巻は、オカンの手編み製であった。

愛情まで兼ね備えていたのなら、肌身離さず身に着けていて当然である。

が、そんなある日、

ふと、腹巻をしていないオトンに気が付いた。

私が、もうすっかり大人になり、結婚もしてすでに離婚もしていたころ。

今の夫と再婚する前だったと記憶する。

かれこれ十数年前だろうか、オトンは60過ぎくらいだったかなー。

子供たちを連れて、実家に遊びに行っていた、

その年は猛暑と言われた、ものすごーく暑い暑い夏だった。

 

「あれ?腹巻は?してないん?」

いつもの調子で聞くと、

『暑くて、あせもができたと』

 

えーーーーー??!!!ですよ。

何十回と過ごしてきた今までの夏は、

暑くなかったんかい?

あせもも出来んやったんかい?

なにがあっても腹巻だけは、必ずつけていたあの頃はいったい何やったん。

おなか、冷えんと?

すーっとせんの?

矢継ぎ早に突っ込んでも、しれっと素知らぬ顔。

 

『でものー、財布入れるところがないで困るんよ。やきね、セカンドバッグと小銭入れ、買うたっちゃ。』

と、嬉しそうに自慢して見せてきた。

いかにもなオジサンbag。

昭和の腹巻オトンに、はなからお洒落を求めていないし、別にいいんですけど、

まあ、それが一般的な普通のスタイルよな。

にしても、腹巻のないオトンなんてもう違和感でしかない。

昆布巻きの昆布がないただの味のついた鯖やし。(実家では昆布巻の中身はサバだった)

海苔のない海苔巻きで、結果ちらし寿司…?(混ぜたら一緒)

とにかくその夏は、びっくりしすぎて、オトンもしかして死が近いん?て何回も思ったわ。

娘の心配をよそに、くたばる形跡ゼロやったけど。

 

 

もひとつ付け加えると、

私が、小学校のころだったかな。

オカンお手製の手編み腹巻に、穴が開いていたことがあった。

仕事から帰って来て、お風呂に入るときに、

札入れも免許証も、小銭も、みんななくなっていることに気づいたらしく、 

大きな穴をのぞいて、夫婦ふたりで大笑いしていたのを覚えている。

なんとものんきな光景…

 

大きくあいた穴を、オカンが毛糸で修理し、その後もまだ大事につかっていた。

(てか、その前に気づけや。全部なくなるまで気づかんのかマジでなぞ…)

 

それほどまで頑固に離さなかった腹巻が、

あせもの襲来で、いとも簡単にサヨナラになるとは…

別れは思いもよらずにやってくるものだ。

 

 

 

では、今日はこのへんで。

ジローさんの腹巻を編まねば!

週末寒いので、温かくしてお過ごしくださいね~。

 

 

 

最後まで読んでくださりありがとうございます。

次回もお楽しみに。

 

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